Classici giapponesi con furigana
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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
Leggi 寺田寅彦随筆集 第五巻 (あひるとさる) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 194.515 caratteri · 389 schermate
ツメタイアイスクリーム持って来てください」というのである。
結局シャーベットか何かを持って来たのでそれでやっとどうやら満足したらしく、傍観者の自分もそれでやっと安堵の思いをしたことであった。
その「つめたいアイスクリーム」の「つめたい」に特別のアクセントを置いて、なんべんとなく、泣くように訴えるように恨むように、また堪え難い憤懣を押しつぶしたような声で繰り返している片言まじりの日本語を聞いていたときに、自分はやはり妙に悲しいようなさびしいような情けないような不思議な感じに襲われて、その当時の印象がいつまでも消えないで残っていた。それも今この眼前の老人の「七十銭」と「タオル」の事件に際して再び如実に思い出したのであった。
老人がその環境への不満から腹を立てている。しかし周囲の人はそれをきわめて軽く取り扱っている、そうした光景を見るとき自分は子供の時分から妙に一種の悲哀に似たあるものを感じる癖があったような気がする。小説や戯曲でもそういう場面がしばしば自分を感傷的にした。あらゆる悲劇中でそういうものをいちばん悲劇的に感ぜられたような気がする。なぜだかわからない。