Classici giapponesi con furigana
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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
Leggi 寺田寅彦随筆集 第五巻 (あひるとさる) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 194.515 caratteri · 389 schermate
夏になると徳島からやって来た千金丹売りの呼び声もその一つである。渡り鳥のように四国の脊梁山脈を越えて南海の町々村々をおとずれて来る一隊の青年行商人は、みんな白がすりの着物の尻を端折った脚絆草鞋ばきのかいがいしい姿をしていた。明治初期を代表するような白シャツを着込んで、頭髪は多くは黙阿弥式にきれいに分けて帽子はかぶらず、そのかわりに白張りの蝙蝠傘をさしていた。その傘に大きく、たしか赤字で千金丹と書いてあったような気がする。小さな、今で言えばスーツケースのような格好をした黒塗りの革鞄に、これも赤く大きく千金丹と書いたのをさげていたと思う。せんだんの花のこぼれる南国の真夏の炎天の下を、こうした、当時の人の目にはスマートな姿でゆっくり練り歩きながら、声をテノルに張り上げて歌う文句はおおよそ次のようなものであった、「エーエ、ホンケーワーア、サンシューノーオー、コトヒーラーアヨ。(休)。マツシーマーア、カデンーノーオー、センキーンーンタン」というふうに全く同じ四拍子アンダンテの旋律を繰り返しながら、だんだんに薬の効能書きを歌って行くのである。「そのまた薬の効能は、疝気疝癪胸痞え」