Classici giapponesi con furigana
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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
Leggi 寺田寅彦随筆集 第五巻 (あひるとさる) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 194.515 caratteri · 389 schermate
しかしなぜ尾長鶏がそんなに悲惨なものとB教授に思われたか、これが今日までもどうしても解けない不思議ななぞとして自分の胸にしまい込まれている。
ボーイについて思い出したことがもう一つある。やはりこの事変の日に刑事たちが引き上げて行ったあとで、ボーイが二三人で教授のピストルを持ち出して室の前の庭におりた。そうして庭のすぐ横手の崖一面に茂ったつつじの中へそのピストルの弾をぽんぽん打ち込んで、何かおもしろそうに話しながらげらげら笑っていた。つつじはもうすっかり散ったあとであったが、ほんの少しばかりところどころに茶褐色に枯れちぢれた花弁のなごりがくっついていたことと、初夏の日ざしがボーイのまっ白な給仕服に照り輝き、それがなんとも言えないはかない空虚な絶望的なものの象徴のように感ぜられたことを思い出すのである。
(昭和十年七月、文学)