Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
気保養と称して、この三めぐりの女気のない、るす番のじいやばかりの、この別荘へやって来て、有朋がこんな風にいく日もいく日も、声さえ立てずに暮らすことは、これまでも珍らしいことではなかった。
そういうときには、部屋も五ツ間しかないこの別荘のどの部屋に閉じこもっているのか、それすらも分らないほどに、どこかの部屋へ閉じこもったきりで、橋を渡って向う河岸の亀長から運んで来る三度三度のお膳さえ、食べているのか呑んでいるのか分らないほどだった。
しかし、なにかしていることだけはたしかだった。その証拠には、有朋が陸軍中将の服を着て、馬に乗ってこの別荘へやって来て、こうやって三日か五日声も立てずに閉じこもって、また長靴を光らしてこの別荘から出て行くと、忘れたころにぽつりぽつりと、どこかの鎮台の将校の首が飛んで、そのあとへぽつりぽつりとまた一足飛びの新らしい将校の首が生えたり、伸びたりするのがつねだった。
そういう穴ごもりのあるたびに、いく人かいる食客のうちから、決ってこの金城寺平七がお供を言いつかって来るというのも、実はこの金城寺平七という見事な名前を持っている男が、名はあっても心を持っているかいないのか分らないようなところがあるためだった。