Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
お抱え番匠万平が、これならばいか程忍びの術に長けた者であっても、決して無事には渡り切れませぬと折紙つけたその鶯張りなのだ。だのに音はそれっきりきこえなかった。
と思われたとき、――キイキイとまた鳴いた。
同時に影だ!
ふりそそいでいる月光の中から障子の面が、突然ふわりと黒い人の影が浮び上った。ふた筋三筋鬢のほつれ毛がほっそりとしたその顔に散りかかって、力なくしょんぼりとうなだれ乍らまるで足のない人のごとく青白い光りの中に佇んでいるのである。
「た、誰じゃ!」
「何者じゃ!」
叫び乍ら門七と大三郎が走りよって、さっと左右から障子を押し開いた刹那、――ぺたぺたと崩れ伏すように影が膝を折ると消え入るような声で言った。
「おそなわりまして厶ります……」
二
「……!」
「……!」
一斉に目が不審の色に燃え乍ら、影と声の主を見守った。
だが、二瞬とたたない凝視だった。城主長国の声がおどろきと悦びに打ちふるえ乍ら、月光の中の影に飛んでいった。
「おう! そちか! ――波野よな! 千之介じゃな!」
「はっ……。おそなわりまして厶ります……」
「小気味のよい奴じゃ。