Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
三つの影はその青の間を縫い乍ら、二ノ濠わきのお長屋目ざして、黙々と歩いていった。
「では――」
「おう、また――」
お長屋の離れている多々羅は右へ、隣り合っている門七と千之介は左へ、覗き松のところから分れて行くのが道順なのである。
分れて二つの影になった千之介と門七は、三歩ばかり黙々と歩いていった。しかし、その四歩目を踏み出そうとしたとき、突然門七が嘲るように千之介に言った。
「馬鹿め!」
「なにっ」
「怒ったか」
「誰とても不意に馬鹿呼ばりされたら怒ろうわ。俺がどうして馬鹿なのじゃ」
「女々しいからよ。君前であの態は何のことかい。なぜ泣いたか殿はお気付き遊ばしておられるぞ。あの時も意味ありげに仰有った筈じゃ。乱世ともならば月を眺めて泣く若侍もひとりや二人は出て参ろうわと仰せあった謎のようなあの御言葉だけでも分る筈じゃ。たしかにもう御気付きなされたぞ」
「馬鹿を申せ! 誰にも明かさぬこの胸のうちが、やすやすお分り遊ばしてなるものか!第一そう言うおぬしさえも知らぬ筈じゃわ」
「ところが明皎々――」
「知っておると申すか!」
「さながらに鏡のごとしじや。ちゃんと存じておるわ。