Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
た。
「不、不義者めがっ」
罵ったのと斬ったのと同時だった。スパリ、冴えた一刀があの憎らしくも悩ましい片袖もろ共左腕をそのつけ根から斬って放った。――だが刹那である。林田門七もさる者だった。左腕を斬って放たれ乍らも右手一つで咄嗟に抜き払ったその一刀が、ぐさりと千之介の腰車に喰い入った。
そうして言った。おどろいたように言った。
「おう! 千之か! 誰かと思うたのにおぬしだったか!」
「お、おぬしだったかがあるものか! 妻を盗んだ不埒者めがっ。千之が遺恨の刃、思い知ったか」
「そ、そうか! では、では、お身、今の話をまことと信じたか!」
「なにっ。う、嘘か! 嘘じゃと申すか」
「嘘も嘘も真赤な嘘じゃわ! あの貞女が何しにそんないたずらしようぞ! 袖の破れを縫うて貰うたは本当のことじゃが、あとのことは、みなつくり事じゃわ!」
「油のしみはどうしたのじゃ! その片袖の油の匂いはどうしたと言うのじゃ!」
「縫うて貰うているすきに知りつつ細工したのじゃわ。それもこれもみなおぬしに、武道の最期、飾らせたいと思うたからじゃ。女ゆえに見苦しい振舞でもあってはと――そち程の男に、女ゆえ見苦しい振舞いがあってはと、未練をすてさせるために構えて吐いた嘘であったわ」