Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
「…………」
「どうだ。だれか張っていそうか!」
「――いえ、大丈夫、いないようです」
「よしっ、あがれっ」
いないと思ったのに、灯を消して、じっとすくんでいたのである。ぬっと顔を出した三人へ、
「誰じゃっ」
するどい誰何の声がふりかかった。――しかし、みなまで言わせなかった。富田も小次郎も、斬りたくてうずうずしていたのだ。
スパリと、左右から青い光りが割りつけた。
それがいけなかった。
ひとりと思ったのに、もうひとりすくんでいたのである。刹那に、バタバタとその影が走り出すと走り乍らけたたましく呼び子を吹き鳴らした。
同時に、街のかなたこなたから、羽音のような足音が近づいた。
「小屋へ飛びこめっ。あの左手の黒い建物が、非人小屋じゃ! あれへかくれろっ」
キリを揉むような足の苦痛をこらえて、神代は、ふたりをせき立て乍ら、まっしぐらに非人小屋の中へ駈けこんだ。
しかし、どうしたことかその小屋は、がらあきだった。いつもは二百人近い非人がたかっているというのに、人影はおろか、灯影一つみえないのである。
そのまにも、捜索隊の足音は、ちらちらと提灯の光りを闇のかなたにちりばめて、呼び子の音を求め乍ら、バタバタと駈け近づいた。