Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
ひとりぽっちなのね」
不意にそのとき、ガラガラした声が、下からあがって来ると肥った女中が、ぺったりとそばへ来て坐って、とりなすように言った。
「罪なことをするのね。こんなおとなしい人をひとりぽっちにしておいて、まずかったでしょう、お酒が」
「昔からおれはひとりぽっちだ」
突然、平七が怒ったように言った。――しかし本当に怒ったわけではなかった。
「ふ、ふ、ふ、ふ、ふ……」
しばらく間をおいてから、思い出したように笑うと、ぽつりと女に言った。
「前の川は今でも深いかね」
「深いですとも、江戸が東京に変ったって、大川は浅くなりゃしないですよ」
「そういうものかな。じや江戸が東京になっても、人が死ねるところでは、やっぱり人が死ねるということになるんだな」
「まあ。気味のわるいことを仰有るのね。なんだってそんなおかしなことをおききなさいますの?」
「むかしからこの前の川で何人ぐらい死んだか。変らないものはいつまで経っても変らないから、妙なもんだと思っていたところさ。――貴君はいくつだね」
「おい……」
話の腰を折るように、その時新兵衛が、向うの暗い部屋から顔だけ出すと、頤をしゃくって言った。