Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しょうせつ えんちょう

小説 圓朝

正岡 容

Leggi 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 163.270 caratteri · 325 schermate

Aozora Bunko

「ア、いいことがあら」

急に安心したように肯いて、

「上がんねえ」

「エ、上がんねえよ高座へ」

「誰がです」

「お前がだよ」

「冗、冗……」

「ほんとだよ」

「だ、だって、そ、そんな冗……」

「上がりなってば、いいから。そのためのお前、イザってときのとっときにしておく前座じゃねえか」

「でも私はもう宵に」

その宵も、あとのしんこ細工の蝶丸さんがこないで二席がけたっぷりとやってしまった自分だった。

「いいや上がったっていい。何べんでも上がりねえな。何、遠慮があるものか、お前の噺は末があるんだ。俺見込んでこねえだ文楽さんにそういっといてやったくれえなんだ」

ア、この人がいって下すったのか――。

「ありがとうございます」

傍らの大太鼓へ危うくお額をぶつけてしまうほどのお辞儀をすると小圓太は、さすがに嬉しさに胸ときめかせて、

「じゃ、上がります」

「オオ上がれ上がれ。上がりねえとも。いいシホだからこういう深えとこで充分腕を磨きねえよ。その時分にゃ誰か届かあ。じゃ文楽師匠によろしく、な」

そのまんまプーイと鯉かんはとびだしていった。「ウー寒い寒い」という声がすぐ表で聞こえてやがて凍ったような下駄の音ばかりが次第に遠のいていった。