Classici giapponesi con furigana
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しょうせつちゅうのおんな
小説中の女
豊島 与志雄
Leggi 小説中の女 (しょうせつちゅうのおんな) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7887 caratteri · 16 schermate
長く不快な気持を味わされたのだった。――彼女の襟元には、すぐ眼につく大きな黒子があった。それは私もまだ、みさ子に想像していないことだったが、みさ子にくっつけても非常によく似合いそうだった。
この黒子という新発見に、私は一寸嬉しくなって微笑みながら、水色の襦袢の襟からそれが覗き出してるのを、いつまでも眺めていた。そのうちに、汽車は戸塚と程ヶ谷との間の隧道にはいった。耳鳴りがするような大きな響に、車内の電燈の光が少し薄らいで、茫とした盲いた明るみになった途端、彼女は俄に顔を挙げて、私の方に眼を据えた。変に空虚な眼付だった。その底にあるものが、温情であるか或は敵意であるか、私は一寸見定めかねて、知らず識らず眼を外らした。そして隧道を出てしまってから、私はまた彼女の方へ眼をやった。彼女はまだ私の方を見ていた。びくともしない高飛車な眼付だった。私はその底に、みさ子の怒った時の眼の光を見て取った。軽蔑的な無関心さに包まれてる鋭い眸だった。先程から私がしきりに眺めていたことを、彼女は知ってるに違いなかった。別に他意あって眺めたわけではないけれど、それでも私は少してれてきた。