Classici giapponesi con furigana
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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Leggi 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 83.234 caratteri · 160 schermate
何かを捜し求めるように土饅頭の間をうろ/\している父の跡から、滋幹は殆ど踵を接するくらいに附いて行ったが、父は附けられていることを意識しているのかいないのか、さっきから一度も振り返ったことがなかった。屍骸の肉を貪っていたらしい犬が一匹、不意に叢の間から跳び出して慌てゝ何処かへ逃げ去ったが、父はそんなものにも眼もくれなかった。彼が何かしら異常に緊張し、それに精神を打ち込んでいるらしい様子は、後姿からでも判断が出来た。そして、程なく滋幹は、父の足が止まったので、自分もピタリと歩みをとゞめた瞬間に、体じゅうが総毛立つものを眼前に見た。
月の光と云うものは雪が積ったと同じに、いろ/\のものを燐のような色で一様に塗り潰してしまうので、滋幹も最初の一刹那は、そこの地上に横わっている妙な形をしたものゝ正体が掴めなかったのであるが、瞳を凝らしているうちに、それが若い女の屍骸の腐りたゞれたものであることが頷けて来た。若い女のものであることは、部分的に面影を残している四肢の肉づきや肌の色合で分ったが、長い髪の毛は皮膚ぐるみ鬘のように頭蓋から脱落し、顔は押し潰されたとも膨れ上ったとも見える一塊の肉のかたまりになり、腹部からは内臓が流れ出して、一面に蛆がうごめいていた。