Classici giapponesi con furigana
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やまのうえのきとくものはなし
山の上の木と雲の話
小川 未明
Leggi 山の上の木と雲の話 (やまのうえのきとくものはなし) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 2629 caratteri · 6 schermate
木は、ほんとうに夢とばかり思ったのです。そして、このときばかりは、自分ほど、幸福なものは世の中にないと思いました。いつまでも木は、この美しい雲をば見ていたかったのです。また、翼があったら、自分も飛んで雲の後を追って、いっしょに旅をしたいと思いました。しかし、木には、もとよりそれができなかったのです。そのうちに、だんだん雲の姿は、遠ざかってしまいました。
その日から、木は、この雲の姿を忘れることができませんでした。そして、もう一度ここへやってくるといった雲の言葉を思い出して、毎日さびしい日を送っていました。
しかし、それからというものは、けっして、そのような美しい雲をば木は、見なかったのです。夏も去ってしまい、秋にもなったけれど、この美しい雲は、ふたたび目のとどくかぎり、空に姿を現しませんでした。
木は、深い、深い、愁いに沈みました。毎日、山の頂を通る雲は、灰色の物悲しいものばかりでありました。
木が、こうして悲しみに沈んでいましたとき、からすがやってきて、
「なんで、そんなに悲しんでいるのですか?」と、木に向かって聞いたのであります。
木は、心の中の悲しみを隠していることができませんでした。