Classici giapponesi con furigana
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やまのてのこ
山の手の子
水上 滝太郎
Leggi 山の手の子 (やまのてのこ) di 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.551 caratteri · 31 schermate
私は一人悄然と町内のお花見の連中が春の町を練って行く後姿が、町角に消えるまで立ち尽したがそれも見えなくなるとにわかに取り残された悲しさに胸が迫って来て思わず涙が浮んで来た。
多数者の中で人々とともに喜びともに狂うことも出来ない淋しい孤独の生活を送る私の一生はお屋敷の子と生まれた事実から切り離すことの出来ない運命であったのだ。小さな坊ちゃんの姿は一人花見連とは反対に坂を登って、やがて恨めしい黒門の中に吸われた。
珍しい玩具も五日十日とたつうちには投げ出されたまま顧みられなくなるように、最初のうちこそ「坊ちゃん坊ちゃん」と囃し立てた子供も、やがて煙草屋の店先の柳の葉も延びきったころには全く私に飽きてしまって坊ちゃんはもはや大将としての尊敬は失われて金ちゃんの手下の一人に過ぎなかった。
「何んでえ弱虫」
こう言って肱を張って突っかかって来る鼻垂らしに逆らうだけの力も味方もなかった。けれどもやはり毎日のように遊び仲間を求めて町へ出たのは小さい妹のために家中の愛を奪われ、乳母をさえも奪われたがために家を嫌ったよりもお鶴といった魚屋の娘に逢いたいためであった。