Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

さんじょうこ

山上湖

豊島 与志雄

Leggi 山上湖 (さんじょうこ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.912 caratteri · 22 schermate

Aozora Bunko

」

私は一歩足をとめて、彼をちらと顧みた。彼は沖の方は見ずに、月を仰いでいる。湖水の底の死体どもが、真直に立たずに、逆立ちして、ふらりふらり動いてるとすれば、それはなんと奇怪な光景だろう。そんなことは到底信じられない。

「ほんとかしら。」

「何が。」

「死体の話。」

「君がそう言ったんじゃないの。」

声の調子は、私の話をばかにしてるのではなかった。それかと言って、真実と思ってるのでも勿論なかろう。逆立ちのことは、ただ理論的訂正なのだ。ただ理論的訂正。

私はローレライの歌を口ずさみかけて、やめた。

はっと思い出したことがある。――平田の奥さんの知人に、霊感の強い中年婦人がいる。日蓮宗の信者で、さる修験者について修業をし読経中ばかりでなく、日常の間にも、ふっと精神統一の境にはいることがある。そして霊感で得る言葉を口走る。予言的なことがよく的中する。人の生死を言い当て、吉凶を予見し、ものの怪のたたりをあばきだす。勿論彼女は、普通の行者のようにそれを業とはしない。頼まれても頼まれなくても、自然に発するのだ。その婦人が、よその家で、平田の奥さんに向って、危難を免れる、と二度ほど口走った。