Classici giapponesi con furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Leggi 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.466 caratteri · 92 schermate
「ふん。そんなら敵討は罷にするのか」
宇平は軽く微笑んだ。おこったことのない叔父をおこらせたのに満足したらしい。「そうじゃありません。亀蔵は憎い奴ですから、若し出合ったら、ひどい目に逢わせて遣ります。だが捜すのも待つのも駄目ですから、出合うまではあいつの事なんか考えずにいます。わたしは晴がましい敵討をしようとは思いませんから、助太刀もいりません。敵が知れれば知れる時知れるのですから、見識人もいりません。文吉はこれからあなたの家来にしてお使下さいまし。わたしは近い内にお暇をいたす積です」
九郎右衛門が怒は発するや否や忽ち解けて、宇平のこの詞を聞いている間に、いつもの優しいおじさんになっていた。只何事をも強いて笑談に取りなす癖のおじが、珍らしく生真面目になっていただけである。
宇平が席を起って、木賃宿の縁側を降りる時、叔父は「おい、待て」と声を掛けたが、宇平の姿はもう見えなかった。しかし宇平がこれきりいなくなろうとは、叔父は思わなかった。
夕方に文吉が帰ったので、九郎右衛門は近所へ往って宇平を尋ねて来いと云った。宇平は折々町の若い者の象棋をさしている所などへ往った。