Classici giapponesi con furigana
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やまつばき
山椿
山本 周五郎
Leggi 山椿 (やまつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.911 caratteri · 32 schermate
主馬は自分の寝床の中へはいり、彼女のほうへ背を向けて、眼をつむった。
かなり時間が経っても、花嫁の動くけはいがしなかった。振返って見るときぬは同じ姿勢で坐っていた。
「もう寝なければいけない、凍てるから、風邪をひいてしまうよ」
彼女は聞きとりにくいほどの声ではいと答えた、主馬は頭を元へ戻した、隠居所のほうから唄が聞えてくる、雪のために反響を消されて、現実というよりは記憶から甦ってくる声のようだ。――主馬はそれからも二ど寝るようにすすめた、然し花嫁は朝まで寝なかった、躯を固くして、俯向いたまま身ゆるぎもせずに、じっと坐っていた。
「どうかなさいまして、たいそうお顔色が勝れませんわ」
みちが疑わしげな眼で従兄を見た、きぬが里帰りから戻った翌朝のことである。――主馬と新嫁のあいだがうまくいっていないのは慥かだ、新婚の明くる夜から新嫁は自分の居間で寝る。寝所のことは須藤から付いて来た小間使が世話をして、きぬ女は手を出さない、登城や下城の着替えもまだみちに任せたままでいる、然も殆んど二人が口をきかないのをみちは知っていた。
「どうもしやあしないが――」
主馬は口籠った。