Classici giapponesi con furigana
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さざんか
山茶花
佐左木 俊郎
Leggi 山茶花 (さざんか) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5001 caratteri · 10 schermate
その山茶花は、まだ相当にやっていた頃に、婆さんの植えたものであったが、平三爺の、長い労苦の生涯に、慰めのものとして残ったのは、僅かに、この一本の山茶花に過ぎなかった。この一本の山茶花のほかの何ものをも残し得なかった生涯、六十何年間の、血のにじむような、労苦に満ちた人生だったとも言えるのである。
重苦しい雰囲気の中で、三人は黙り続けていたが、長作は煙草入れを腰にさして炉傍を立った。
「爺つあんの、薬さ混ぜる砂糖、万の野郎が、みんな舐めでしまって無くなったげっとも……」と、おもんは、相談するように言った。
「砂糖なんかいらねえぜ、おら。薬だもの、嚥み辛いのなんか、仕方がねえ。」
「卵が、なんぼか溜まってる筈だべちゃ。そいつでも売らせてや。うむ、万の野郎に売らせで。」
長作はこう言い残して、また納屋の方へ出て行った。
平三爺は、重い溜め息を一つ吐いて、幾日も敷き続けられてある万年床へと立って行った。おもんも跟いて行って、破れて綿のはみ出ている布団を掩い掛けてやるのであった。そしてなお、上から押し付けたり、その辺に脱ぎ捨てられている衣類を、なんでも、手当たり次第に掩い掛けてやるのであった。