Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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がけしたのいけ

崖下の池

豊島 与志雄

Leggi 崖下の池 (がけしたのいけ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.109 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

恒吉は朝に夕に池を眺めて、池を中心にした庭造りなどの考案をめぐらしました。あたりが焼け野原となり、畠が耕作されてるので、普通の庭ではそぐわず、なにか特別な考案の必要がありました。

そういうことを思いめぐらしてる恒吉の耳へ、へんなことが伝ってきました。

――池の中に子供の死体があって、まだそのままになってるというのです。

ただそれだけの噂でしたが、それが近所で囁き交わされ、かなり拡まっているようでした。辰子がそれを聞きつけて、恒吉にも伝えました。甚だ単純な噂で、何の根拠もないものだけに、却って、銭湯の中や、配給品を受ける行列の中などで、お上さんや娘たちの間で囁かれて、拡まったのでもありましょうか。どこの子供のどういう死体かさえも分りませんでした。

「まったく嫌な話だわ。」と言って辰子は額に皺を寄せました。

恒吉は笑いました。

「うちの池が美しいから、誰かが妬んで、そんな噂を作りだしたんだろう。」

然し辰子にしてみれば、なんだか不気味で、笑って済ませられもしませんでした。噂の元をつきつめたく思いましたが、打ち明けて聞けるほどの懇意な人もありませんでした。