Classici giapponesi con furigana
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あらし
嵐
島崎 藤村
Leggi 嵐 (あらし) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 54.007 caratteri · 108 schermate
僕と三ちゃんとで毎日のように歩いて見た。二人ですっかりさがして見た。この麻布から青山へんへかけて、もう僕らの歩かないところはない……」
と、次郎が言うころは、私たちの借家さがしもひと休みの時だった。なるべく末子の学校へ遠くないところに、そんな注文があった上に、よさそうな貸し家も容易に見当たらなかったのである。あれからまた一軒あるにはあって、借り手のつかないうちにと大急ぎで見に行って来た家は、すでに約束ができていた。今の住居の南隣に三年ばかりも住んだ家族が、私たちよりも先に郊外のほうへ引っ越して行ってしまってからは、いっそう周囲もひっそりとして、私たちの庭へ来る春もおそかった。
めずらしく心持ちのよい日が私には続くようになった。私は庭に向いた部屋の障子をあけて、とかく気になる自分の爪を切っていた。そこへ次郎が来て、
「とうさんはどこへも出かけないんだねえ。」
と、さも心配するように、それを顔にあらわして言った。
「どうしてとうさんの爪はこう延びるんだろう。こないだ切ったばかりなのに、もうこんなに延びちゃった。」
と、私は次郎に言ってみせた。貝爪というやつで、切っても、切っても、延びてしかたがない。