Classici giapponesi con furigana
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あらし
嵐
島崎 藤村
Leggi 嵐 (あらし) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 54.007 caratteri · 108 schermate
病気以来、ことにそうなった。何か特別の用事でもないかぎり、私は樹木の多いこの町の界隈を歩き回るだけに満足した。そして、散歩の途中でも家のことが気にかかって来るのが私の癖のようになってしまった。「とうさん、僕たちが留守居するよ。」と、次郎なぞが言ってくれる日を迎えても、ただただ私の足は家の周囲を回りに回った。あらゆる嵐から自分の子供を護ろうとした七年前と同じように。
「旦那さん。もうお帰りですか。」
と言って、下女のお徳がこの私を玄関のところに迎えた。お徳の白い割烹着も、見慣れるうちにそうおかしくなくなった。
「次郎ちゃんは?」
「お二階で御勉強でしょう。」
それを聞いてから、私は両手に持てるだけ持っていた袋包みをどっかとお徳の前に置いた。
「きょうはみんなの三時にと思って、林檎を買って来た。ついでに菓子も買って来た。」
「旦那さんのように、いろいろなものを買って提げていらっしゃるかたもない。」
「そう言えば、鼠坂の椿が咲いていたよ。今にもうおれの家の庭へも春がやって来るよ。」
そんな話をして置いて、私は自分の部屋へ行った。
私の心はなんとなく静かでなかった。