Classici giapponesi con furigana
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あらし
嵐
島崎 藤村
Leggi 嵐 (あらし) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 54.007 caratteri · 108 schermate
それほど私もきげんのよかった時だ。私は四畳半から茶の間のほうへ行って、口さみしい時につまむほどしか残っていない菓子を取り出した。遠く満州の果てから帰国した親戚のものの置いて行ったみやげの残りだ。ロシアあたりの子供でもよろこびそうなボンボンだ。茶の間には末子が婆やを相手に、針仕事をひろげていた。私はその一つ一つ紙にひねってあるボンボンを娘に分け、婆やに分け、次郎のいるところへも戻って来て分けた。
「次郎ちゃん、おもしろい言葉があるよ。」と、私は言った。「田舎へ引っ込むのはね、社会から遠くなるのじゃなくて、自分らの虚栄から遠くなるのだ。という言葉があるよ。勉強のできるのは田舎だね。お前のように田舎にいて、さびしさと戦うのもいい修業じゃないか。」
「しかし、僕はそれに耐えられるほど、まだほんとうに頭ができていない。」
「だから、ときどき出て来るさ。番町の先生の話なぞもききに来るさ。」
「そうだよ。」
「読めるだけはいろいろなものを読んで見るさ。」
「そうだよ。」
その時になって見ると、太郎はすでに郷里のほうの新しい農家に落ちついて、その年の耕作のしたくを始めかけていたし、次郎はゆっくり構えながら、持って生まれた画家の気質を延ばそうとしていた。