Classici giapponesi con furigana
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
Leggi 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.846 caratteri · 96 schermate
勝手を知ったおげんは馴染も薄い患者ばかり居る大広間から抜け出して、ある特別な精神病者を一人置くような室の横手から、病院の広い庭の見える窓の方へ歩いて行って見た。立派な丸髷に結った何処かの細君らしい婦人で、新入の患者仲間を迎え顔におげんの方へ来て、何か思いついたように恐ろしく丁寧なお辞儀をして行くのもあった。
寒い静かな光線はおげんの行く廊下のところへ射して来ていて、何となく気分を落着かせた。その突当りには、養生園の部屋の方で見つけたよりもっと深い窓があった。
「俺はこんなところへ来るような病人とは違うぞい。どうして俺をこんなところへ入れたか」
「さあ、俺にも分らん」
おげんの中に居る二人の人は窓の側でこんな話を始めた。
「熊吉はどうした」
「熊吉も、どうぞお願いだから、俺に入っていてくれと言うげな」
「小山の養子はどうした」
「養子か。あれも、俺に出て来て貰っては困ると言うぞい」
「直次はどうした」
「あれもそうだ」
「お玉はどうした」
「あれは俺を欺して連れて来て置いて」
「みんなで寄ってたかって俺を狂人にして、こんなところへ入れてしまった。盲目の量見ほど悲しいものはないぞや」