Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さこんのいかり

左近の怒り

坂口 安吾

Leggi 左近の怒り (さこんのいかり) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.454 caratteri · 95 schermate

Aozora Bunko

左近に金庫を爆破させようとした張本人は住田嘉久馬なのだ。そして住田が張本人でなければ、住田の犬が左近を殺す手筈はたてられない。猛犬を自由にするには主人の協力がなければならない。

葉子は緊張で居たたまらなくなり叫びださずにいられないような衝動におそわれかけたが、必死に口を結んで、こらえていた。何も云ってはいけない。これが新聞記者に知れてしまうと、左近は海まで生きて帰りつくことすらもできないだろう。明日の朝、左近に附き添って、海まで送りとどける役目を自分が果さなければならないと葉子は心をきめた。

谷本は胸のポケットからパイプをとりだして、器用な手つきでふかしながら、

「ところがだな。この一億五千万はまだ住田の手に渡っていないらしいんだ。なぜなら、金が渡れば、例の品物は敵方の手中に移るわけだ。これが敵方、つまり汚職方だな。そッちの手に移れば、汚職方や政府筋や検察庁方面に新しい動きが起るわけだ。それがまだ起っていないんだよ。もう一ツ、たぶんその節はキミの社へ出版を中止するようにと住田から云ってくるはずなんだ。つまりだな。金銭授受を感知するには、キミの社に張りこんでるのも一法なんだよ。