Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Leggi 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 365.120 caratteri · 728 schermate

Aozora Bunko

我意の張った口を、一文字に結んでいる。その口のため、世の中を渡るのに損をしている人間である。眼と眼のあいだに傷がある。いま明りを失いかけているのは、若いころ、争いで受けたこの傷が悪くあとをひいているせいだ。

二

若松屋惣七は、もちろん町人だ。妙な商売をしている。両替が本業なのだが、貸し借りの仲介、貸金の取り立て、あたらしく稼業をはじめるものに資本の融通をしたり、その他、地所家作の口ききなど、金のことなら、頼まれれば、どんなはなしにも立つ。口銭をとってまとめるのだ。そういうほうの公事にも通じていて、おなじ貸金の督促にしても、相手を見て緩急よろしきを得る。応対にも、強腰弱腰の手ごころをも心得ている。たいがいの金談は、若松屋が顔を出せば成り立つのだ。

まるで彼は、いながらにして江戸中の大店の資本を、五本の指で動かしているといっていい。それほど売れている男なのだ。金の流れの裏に巣くっている、蜘蛛のような存在である。が、蜘蛛というのは当たらないかもしれない。若松屋惣七は、蜘蛛のように陰険ではないのだ。人物は、むしろ仔馬のようにほがらかなのだ。ただ剃刀みたいに切れる。