Classici giapponesi con furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Leggi 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 365.120 caratteri · 728 schermate
これを見た古道具屋の主人、なんとかいってやりたいが、そこに女の眼が光っているからただもじもじ控えているばかり――。
仲間体の男が駈けつけて来た。
駕籠屋から一伍一什を聞くと、男はつかつかと古道具屋の店頭へ進んで、
「ちょっと物を伺います」
ちゃんとした口調だ。
「はい、はい」
「お店へ水茶屋風の年増は来ませんでしたかね?」
爺さん、つい口ごもって戸の内側の女を見る。女の眼が恐ろしい無言のことばと、底に哀訴の色をひらめかしていた。
「いいえ」われ知らず、爺さんはうそぶいてしまった。「どなたもお見えになりませんで。はい」
ちょっと首をかしげたので、これあはいってくるかな。とひやりとすると、男はそのまま立ち去った。
駕籠屋はもう姿がない。
ほっとしたらしく、女はあでやかにほほえんだ。思わずつり込まれて、老爺も皺だらけの顔をほころばせたほど、それは魅力に富んだ笑いであった。
「大丈夫?」
立ったままで女がいった。娘にでも対するように、いかにも自然に、そしてきさくに、老爺は大きくうなずいてみせた。
親船に乗った気でいるがいい――。
こういいたかったのだ。実際、このへんてこな初対面の二人のあいだに、十年の知己のような許し合った心持ちが胸から胸へ流れたことは、不思議といえば不思議、当然といえば当然かもしれない。