Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Leggi 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 365.120 caratteri · 728 schermate
別れた文次は、あとをも見ずに急いで昌平橋へかかった。まず連雀町へ寄るつもりであろう。が、橋の半ばで歩がゆるむと自然とその場に立ちどまって、袂から取り出したのは、一枚の小判。
さっき二階の鎧櫃の底にあったものだ。
人間の悲願煩悩を一つにこめて、いつ見ても燦たる光を放っている。
欄干へ寄って、いろいろと陽にあててながめていると、
「おや! ふうむ、これあ妙だわい」
何か発見したらしい。おどろきと喜悦、つぎにこわい表情が文次の顔に三つ巴を巻いた。手早く金を袂へ返して、何思ったか走り出そうとしたが、よっぽど泡を食っていたものと見える。どうんとぶつかるまで向こうから来る人に気がつかなかった。
「お! ごめんなさいよ」
「気をつけやがれ、ど盲め!」
声ではっとすると、そこは職掌、手がひとりでに自分の袂をつかんだ。
と、小判の手ごたえがない!
「はてな、落としでも――」
振り向くと、めくら縞長袢纒の頸に豆絞りを結んだ男が、とっとと彼方へ駈けて行く。
「うぬ!」
歯ぎしりをして、文次は跡を追った。が、逃げ足は早い。見る見るうちに男は遠ざかる。たまらなくなったいろは屋文次、見得も外聞も捨てて大声をあげた。