Classici giapponesi con furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Leggi 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 365.120 caratteri · 728 schermate
ぱちんと鍔を落とすと、守人は、
「ちっ」と舌打ちをした。
「下郎め、この袖の血を見てとび出しおったが、追っ手の者に訴人致す気に相違ない。万一、不浄の小者ででもあってみれば、存分に顔を見られた以上、どうあっても生かしてはおけぬ奴――ううむ、これは惜しいものを取り逃がしたぞ。血しぶきついでに斬って捨てようと存じたに、いつのまにやら見えずになった。いま眼の前にちらつきおったかと思うと、もう半丁さきを駈けおる。いや、脚の早いやつだ。
まま、おかげでおれも、いやな殺生を一つせずに済んだというもの。また彼奴とても命拾い、こりゃいっそ両得かもしれぬ」
往来の真ん中で、守人は遠くへ耳を澄ました。あたりを打つ雨音の底に、夜のふけるひびきが陰深と鼓膜を衝いて、安兵衛も、黒装束の人数も引き返してくる気勢はない。雨に眠る巷の、真っ暗なたたずまいである。守人は小手をかざした。
「や、降るわ、降るわ。天の箍がゆるんだとみえる。うむ、このこころの塵を洗い清めるまで降れ! 世の人も押し流して、降って降って、降り抜くがよい。ははははは」
口の中で笑って、かれはもと来たほうへ歩き出した。