Classici giapponesi con furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Leggi 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 365.120 caratteri · 728 schermate
「よし来た、一つ見届けてやれ」
きっと胸に決した文次は、手早く履物を脱いで、くるくると手ぬぐいで巻いて懐中すると同時に、跫音を盗んではいりこんだ。うす気味悪くしんとしている。
店頭に行燈が一つ。
昼間でさえ、あまり気持ちのよくない古道具屋の店だ。湯灌場者は死人の手汚で黒ずんでいるし、ほかの古物も、長らく人間の喜怒哀楽を見て来ているようで、そこらの品の一つ一つが一廉の因縁を蔵しているらしく思われる。そとの風がさっと流れこんで行燈の灯をあおり立てたとき、壁の自分の影が大きくゆらいだのを見て、文次は何がなしにどきり――胸を突かれる思いがした。
店のむこうが茶の間、話し声はそこからもれるのだ。なんとなく、あたりをかきまわす物音もするようである。
文次は店を見まわした。灯の届かない隅々に闇黒がわだかまっているばかり、ここには異変は認められない。
――呼んでみようか?
と文次が声を出そうとしたとたん、
「ばかを申せ。あるやつが取られるのはあたりまえだ。それに、拙者らといえども私慾のための盗みではないぞ、国事だ。公用の資金だ。わかったか。わかったらこぼすな、こぼすな。