Classici giapponesi con furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Leggi 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) di 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.548 caratteri · 161 schermate
兎も角もこうして松陰先生大の崇拝で、留魂録は暗誦していた程だったが、しかし此松陰崇拝が、不思議な事には、些とも雪江さんを想う邪魔にならなかったから、其時分私の眼中は天下唯松陰先生と雪江さんと有るのみだった。
で、いつも学校の帰りには此二人の事を考え考え帰るのだが、或日――たしか土曜日だったかと思う、土曜日は学校も早仕舞なので、三時頃にそうして二人の事を考えながら帰って見ると、主人夫婦はいつも茶の間だのに、其日は茶の間に居ない。書斎かと思って書斎へ行こうとすると、椽側の尽頭の雪江さんの部屋で、雪江さんの声で、
「誰?」
という。私は思わず立止って、
「私です。」
「古屋さん?」
という声と共に、部屋の障子が颯と開いて、雪江さんが面だけ出して、
「今日は皆留守よ。」
「え?」と私は耳が信ぜられなかった。
「阿父さんも阿母さんもね、先刻出懸けてよ。」
「そうですか」、と何気なく言ったが、内々は何だか急に嬉しくなって来て、
「松は?」
「松はお湯へ行って未だ帰って来ないの。」
「じゃ、貴嬢お一人?」
「ええ……一寸入らッしゃいよ、此処へ。好い物があるから。」
と手招をする。斯うなると、松陰先生崇拝の私もガタガタと震い出した。