Classici giapponesi con furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Leggi 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.367 caratteri · 36 schermate
源内先生は、克明に一つずつ扉を引開いては部屋を覗いて歩く。寝室のような部屋があるかと思うと、化粧の間とでもいったような、玻璃の大鏡が無残に毀れた床に墜ち散っている部屋もある。朱と金で彩った一抱えほどもある大木魚が転がッているかと思うと、支那美人を描いた六角の彩燈が投げ出してある。
段々進んで行くと、これで最後かと思われる手広い部屋があって、壁に「蘊藉詩情水雪椀、高間画本水雲郷」と書いた聯が二つ懸かっている。
源内先生は、うッそりと聯の文字を読んでいたが、何気なくヒョイと闇溜になった部屋の隅の方へ眼をやると、何か余程怖いものを見たとみえ、日頃そう狼狽えたところを見せない源内先生が、
「おッ、これは!」
と叫んで、三、四歩入口の方へ逃出した。
葬儀でもした後と見え、祭壇をこしらえた一段高いところに作付けの燭台に蝋燭が燃え残り、床の上には棺に供えた団子や供養の金箔紙、白蓮花の仏花などが落ち散って無残に踏躪られている。
祭壇から三間程離れた部屋の隅に一脚の竹倚が置いてあって、その上に一人の男が朱房のついた匕首をの深く背中に突立てられたまま胸の上にがッくりと頭を落している。