Classici giapponesi con furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Leggi 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.367 caratteri · 36 schermate
いきなりこんな姿をごらんになったら、まあ、どのような思いをなさることやら」
「役にも立たぬ繰言を繰返していたってしようがない。どうやら船繋も済んだようだから、そろそろ上陸の支度をしなさい」
迎いの小艀に乗移って陸へ上り、そこから真直に本籠町へ行く。
長崎屋藤十郎の門まで行くと、十二間間口の半まで大戸をおろし、出入りする人の顔付もひどく沈み切って、家の様子も何となく陰気である。
源内先生は、福介を後に従えて土間へ入り、名を告げて案内を乞うと、間もなく奥から蹌踉出して来た、長崎屋藤十郎。
昔は藤十郎の恵比須顔と言われたくらいの肉附のいい福々しい顔が、こうまで変るかと思われるような窶れ方。額には悲しみの皺を畳み、頬は痛苦の鉋で削取られ、薄くなッた白髪の鬢をほうけ立たせ、眼は真ッ赤に泣き腫れている。腰を曲げ、瘧にかかったようにブルブルと両手を震わせながら、よろぼけよろぼけ、見る影もないようすで上框まで出て来て、そこへべッたりとへたり込むと、
「貴君、平賀さまですと。ああ、夢のごたる。ほんとのこツと思われんと」
と言って、両手を顔にあてて泣き出した。
源内先生は、平素の無造作に似ず、叮嚀に頭を下げて、