Classici giapponesi con furigana
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ひかげのまち
幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選
松本 泰
Leggi 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選 (ひかげのまち) di 松本 泰 (まつもとたい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.797 caratteri · 107 schermate
婆さんは事もなげにいった。
私は其日は終日在宅して、久振りで柏に手紙を書いた。無論私は手紙にあの晩以来の出来事を書くような無謀な事はしなかった。
次の朝、私は老人と顔を合せた。彼は相変らず弱々しい体躯を凭椅子に埋めて新聞を読んでいたが、音声だけはいつものように元気だった。
「すっかり、なおったよ。年をとると、から意気地がなくなって、いつ風邪を引込むか分らず、それに永びいて困る。そんな時は二日でも五日でも人間の顔を見ずに、床に入っているに限る。それが儂には最上の療法なんだよ」と笑いながらいった。私は振出人ヒギンスの署名で、無記名一千円の小切手を書かせられた。老人は私からそれを受取って手提金庫へ蔵うと、扉続きの隣室へ入って私を手招きした。そこは寂として骨董品の展覧会のように、東洋の陶器類、支那、ジャバ、及び日本の能狂言の面、瑪瑙や翡翠でこしらえた花生の鉢、其の他さまざまの道具が所狭きまでに置並べてある。
「君の用事は厄介だよ。目録を作らにゃならんのだが、面倒でも一つやって下さらんかね。品物には番号と年代が記入したカードがついている筈だから、それを番号順に列記して下さい」