Classici giapponesi con furigana
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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Leggi 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.616 caratteri · 90 schermate
いっぽうに血路をひらいて、外へとびだすのは、駿河太郎の神来剣をもってすれば、さしてむずかしいことではありませんが、それをやりとげるためには、むらがる女軍の中にとびこんで、五人や十人は斬らなければなりません。
駿河太郎は、それがいやだったのです。めざすは、将軍家光たったひとり、罪もとがもない女たちを、刀にまかせてきりまくるのは、自分の命がおしさのひきょうなふるまいです。
「よーし、こいッ」
駿河太郎は大剣をまわして、女軍の一方にきりこみました。どこに、どうした技があったものか、長刀と脇差が、五、六本宙にとぶと、女軍の先頭が二、三人おりかさなって廊下にたおれ、その上をツバメのごとくとんで、駿河太郎のからだは廊下を幾曲り、さっきの雨戸のすきまから、おぼろ月の春の庭へ、ポンととびおりました。
「おのれ、曲者」
ハッと気がつくと、前には宿直の武士が二、三十人、円陣をつくって、駿河太郎をまっていたのです。
大奥にどんなさわぎがあっても、表の武士たちは裏の長局へは入ることがならず、気をもみながらまっているところへ、えものは自分のほうから、網の中へ飛びこんだようなものでした。