Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Leggi 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.616 caratteri · 90 schermate

Aozora Bunko

母の操は一応それをとめましたが、お千代の決心がかたいので、しばらく思うままにさせることにし、大山詣りに変装した一行は、しばしのわかれをおしみながら、菜の花の咲きにおう厚木街道を丹沢山へとむかったのです。

江戸へ引かえすことになった天魔太郎と月子とお千代、六郷の渡しをこえて、やがて品川へちかづいたのはもう夕ぐれでした。

「オーイ、オーイ」

うしろからとんできたのは、神奈川でわかれたはずの小僧の虎吉。三度笠を宙にふりながら追いすがるのです。

「虎吉か、どうした、わすれものか」

天魔太郎は、足をよどませました。

「でっかいわすれものだよ、ぼっちゃんたちは、この虎吉てえ人間をわすれたんだ。おれがいないと、江戸へいって不自由するぜ」

「なにをいうの虎吉、おまえはみんなといっしょに丹沢山へ行くはずだったじゃないの」

お千代は一応たしなめました。

「丹沢の奥へはいって、ワラビやゼンマイをとって、ひなたぼっこをしてながい一日が暮らせますか――てんだ。おれがついていさえすれば、みなさんに不自由はさせませんよ」

「マア、しようのない虎吉ねえ」

そうはいったものの、お千代も月子も天魔太郎も、虎吉の心意気がうれしくないことはありません。