Classici giapponesi con furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Leggi 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 85.965 caratteri · 169 schermate
脇に置いて、気軽くひょいと仰向けにそこへ寝そべろうとした。と、急に起上って、「あら、あんな真白な花が咲いている。」そう頭上を指しながら、もとのように腰をかけなおして、まぶしそうにそっちの方を見上げた。「いい花だなあ。ちょっと泰山木みたいだけれど……」
私も妻も立ち上って行って、一しょにそれを見上げた。妻がいった。「泰山木にしては葉がすこし……。」
そう言われて、私は漸っと他の楢や櫨の木の葉なんぞのよりも、目立って大きい若葉を見て、一目でそれが朴の木の葉であることを思い出した。でも私は、
「朴の木ではないかな?……」と、まだ半信半疑で言った。私もその木がこうやって花咲いているのを見かけるのは今がはじめてだからである。……
三四年前、まだ私もいまのように結婚せず、この村で一年の半分以上を一人でぶらぶら暮らしていた時分、十月も末になると村じゅうどの木もどの木も落葉し出して、それから数日のうちに大抵の木が落葉し尽す――そんな落葉の一ぱいに溜まった山かげを私は好んで歩きまわったが、そういう折に私はそれ等の落葉に雑った図抜けて大きな枯葉をうっかりと踏んづけたりしてそれの立てる乾いた音に非常にさびしい思いをしたものだった。