Classici giapponesi con furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Leggi 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 85.965 caratteri · 169 schermate
そんな小さな魚や昆虫がそういう得体の知れないような黝い水の上をも、まるで水溜りかなんぞのように、いかにも何気なさそうに泳いでいるのを見ているうちに、それら小さな魚や昆虫のもっている周囲への無関心さとほとんど同様のものが私のうちにも自然と生じてきたのかも知れない。……私はふとそれを思いつくと、どこからか自分でその玉網を捜し出してきて、縁先きにしゃがんで、いかにも無心に、それでもって小さな魚を追いまわしていた
何処かで半鐘が、間を隔いては、鳴っていた。
細工場の方の棚は漸っと出来上ったらしかった。箪笥や何かが次ぎ次ぎにその上に移されていった。その次ぎはもう、そこで水籠りをすることになった父たちを残して、私と母とが神田の方へ避難するばかりだった。近所の水の様子を見にやらされた弟子の佐吉は、膝の上まで水に浸ってじゃぶじゃぶやりながら、外へ出ていった。
その間に母は私にすっかり避難をする支度をさせた。最後まで私が手離さないでいた玉網も、とうとう父に取り上げられた。そうやって父や母などに一しょにいだすと、一人でいたときはあれほど平気でいられた私は、俄かにわけの分からない恐怖のなかへ引きずり込まれてしまった。