Classici giapponesi con furigana
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ゆうれいとスクリュウ
幽霊と推進機
夢野 久作
Leggi 幽霊と推進機 (ゆうれいとスクリュウ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.905 caratteri · 24 schermate
一人の水夫は上半裸体の胴体を、寝床の手摺に結び付けたまま、床の方へ横筋違いにブラ下っていたが、左手の関節が脱臼するか折れるかしたらしく、ブランブランになって揺れていた。それから今一人は、これも半裸体のまま床の上に転がり落ちて、蚕棚の下を嘔吐き続けながら、ズット向うの船底の降り口の所まで旅行していたが、どこかに猛烈に打つかったものと見えて、鼻の横に大きな穴が開いて、そこから這い出した黒い血の塊まりが、頬から髪毛の中に這い上っていた。その惨たらしい死相を、ユラユラと動くランタンの光越しに覗いていると、何だか嬉しそうに笑っているかのように見えた。
皆はシインとなった。息苦しい程蒸し暑かった。
「……ウ――ム……ムムム……」
とその時に水夫長が唸り出した。
白いハンカチで何度も何度も禿げ上った額を拭いているうちにランタンの火がブルブルと震え出した。
「……オ……おいらの……せいじゃ……ねえんだぞ……いいか……いいか……」
私は水夫長の声が、いつもと丸で違っているのに気が付いた。響きの大きい胴間声が、難破船のように切れ切れにシャガレていて、死んだ水夫の声じゃないか知らんと思われた位であった。