Classici giapponesi con furigana
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いくどめかのさいご
幾度目かの最期
久坂 葉子
Leggi 幾度目かの最期 (いくどめかのさいご) di 久坂 葉子 (くさかようこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 59.103 caratteri · 121 schermate
私は今、みているのだ。あのひとなのだ、あのひとなのだ、と私は心でさけぶ。笑おうとしたが私の頬はこわばってしまい、言葉をかけようとしたが喉はしめつけられたように苦しい。彼は立上る。先の子供は私の傍をはしり抜ける。私は喰い入るようにその瞳をみつづけた。が、その時彼は視線をはずした。彼は私をはっきり意識したのではない。私はそう感じる。そのことをすぐ裏附けするように彼は歩き出したのだ。私の横を平然と歩いて行く。私は踵をかえす。花が二三本足もとに落ちる。
「おじちゃん」
上の角で子供が手をふった。彼の姪なのか。彼は小さい子供をかかえ上げると足早にあるき出した。その子は彼の子供なのだ。私は茫然とその後姿をみた。そうして彼は角をまがる時私の方をちらとみた。それはほんの瞬間で、すぐにその姿はみえなくなった。私は追う。次の角も次の角も、そうして、彼は軽くこちらをみた。同じ距りで私は彼の視線を一瞬間ずつあびる。
駅に私が着いた時、電車は大きな音をたてて出た。踏切に悄然とたつ私の影が電車の響きとその大きな車体にふみにじられる。(私の内臓はひきさかれ、濃い血がぽとぽと落ちるのだ。