Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にじ

彩虹

山本 周五郎

Leggi 彩虹 (にじ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.898 caratteri · 28 schermate

Aozora Bunko

「違う違う、そんなことじゃない」

宗之助は突っ放すように笑う。

「……百のものを百に切廻すのは個人の家政で、百のものを千にも万にも活かして働かすのが政治というものだ、しかしこんなことはいま云ってもしようがない、近いうちにその証拠を見せてやる、政治がどういうものかという証拠をな」

そしてそのあとで必ず、

「桃園の娘の返辞を早くたのむぞ」

と、くどく念を押すのだった。

ある日、下城して来る途中、めっきり春めいて来た海の色に誘われて、ふと桃園へ立ち寄った。まだ日の高い時刻で客もなく、海の見える二階座敷へ通って茶を求めた。……この家は茶だけの客もよく来るので、菓子もなかなか凝った物を作る。殊に「鶯」という名のものが美味で、伊兵衛は酒のあとでさえよく口にした。

さえの母親が茶と菓子を運んで来て、先月むすめの招かれた礼を述べて去ると、間もなくさえが縫いかけの着物を持って上って来た。ちょっと肩へ掛けてみて呉れと云う。

「どうするんだ」

「お丈が拝見したいんですの、裄は大丈夫だと思うのですけれど、なんですかお丈がちょっと……」

「なんだ母はまたそんなものを頼んだのか」

「わたくしからお願い申したのですわ」