Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かげおとこ

影男

江戸川 乱歩

Leggi 影男 (かげおとこ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.133 caratteri · 310 schermate

Aozora Bunko

「手下だって? ぼくはそんなもんじゃありませんよ。この先の銀行の前で日なたぼっこをしていると、変なやつが来て、五百円くれたんです。このうちへ行って、門はあいたままになっているから、裏庭へ行くと、寝巻きを着たここのうちのだんなが、木にしばられているから、なわを解いてやれっていうんです。そうすりゃ、たんまりお礼がもらえるからってね。それで、やって来たんですよ」

良斎は立ち上がって苦笑いをした。あの黒いクモみたいな男は何者だろう。なんて抜けめのないやつだ。

「そうか。そりゃありがとう。じゃ、こっちへ来たまえ。お礼をあげるから」

良斎は家にはいって、数枚の紙幣を持ってきて、男に与えた。愚かものらしいその男は、深くも疑わず、それ以上の欲も出さないで、そのまま帰っていった。

それから数日のあいだ、良斎は悶々として楽しまぬ日を送った。雇い人を全部追い出してしまったので、会社に電話をかけて、家政婦をふたりよこすように命じ、やっと食事にありついたが、気分がわるいからといって、会社へも工場へも行かなかった。客もみな断わって、ひと間にとじこもり、酒ばかり飲んでいた。

すると、五日ほどたったある日、取り引き銀行の支店長がたずねてきた。