Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かげおとこ

影男

江戸川 乱歩

Leggi 影男 (かげおとこ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.133 caratteri · 310 schermate

Aozora Bunko

自動車のタイヤは、かれのからだとすれすれのところを、うなりを生じて飛び去っていった。うしろの番号を見るひまも何もなかった。たちまち向こうの町かどを曲がって、見えなくなってしまった。

さいわいたいしたケガはなかったけれど、むりに走ったので、足の傷が痛みだした。アパートへ帰りつくのがやっとだった。

「どうもおかしい。あの自動車は、ぼくの逃げるほうへ追っかけてきた。ぼくをひき殺そうとしているようなけんまくだった。車には人相のわるい運転手がひとり乗っているばかりだった。タクシーじゃない。ハイヤーか自家用車らしい」

篠田がそれを話すと、美与子も心配そうに、

「へんだわねえ。あなたが外へ出るたんびに、あぶないことが起こるのだわ。ねえ、もしかしたら……」

「エッ、もしかしたら?」

「川波が、あたしたちがここに住んでいることを気づいたのじゃないかしら。そして、だれかにたのんで、あなたのいのちをつけねらっているんじゃないかしら。あの人、まるで気ちがいなんだから、何をするかわかりゃしないわ」

「まさか、このアパートを気づくはずはないよ。あの人にはまるで縁のない方角だもの。それに、もとのぼくのアパートにも、会社にも、ここのことは何もいってないんだからね」