Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かげおとこ

影男

江戸川 乱歩

Leggi 影男 (かげおとこ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.133 caratteri · 310 schermate

Aozora Bunko

「じゃ、きみ、漆喰のほうをはじめてくれ。ぼくは依頼者を呼んでくるからね」

小男の須原は、そう言いのこして、廊下の向こうへ立ち去ったが、やがて、依頼者川波良斎と肩を並べてもどってきた。

「いよいよ密閉されました。まるで金庫の中へ閉じこめたようなもんですよ」

「で、そののぞき窓というのはどれです」

「このキャタツにおのりください。ほら、あの窓です。ふたを上にひらくと、中に厚いガラスがはめこんであります。八分も厚みのある防弾ガラスですから、中からピストルをうっても、突きぬけるようなことはありません。少しも危険はありませんよ」

気ちがい良斎は、舌なめずりをしてキャタツの上にのぼり、窓のふたをひらいて、中をのぞきこんだ。

「おやッ、だれもいないようだが」

ちょっと見たのでは無人のへやのようであったが、あちこち視線を動かしていると、

「アッ、いる、いる。こちら側の壁にもたれてうずくまっているので、顔が見えない。服のすそと足が見えてるばかりだ……おいッ、美与子、篠田、わしの声がわかるか」

だが、へやの中のふたりは、何も答えなかった。壁の落書きで、こういうことが起こるのをちゃんと予知していたので、いまさら驚くこともないのだ。