Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かげおとこ

影男

江戸川 乱歩

Leggi 影男 (かげおとこ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.133 caratteri · 310 schermate

Aozora Bunko

十二の娘の、かわいいかわいい娘の、花の売り上げをちょろまかして飲むんだ。おっかあも娘も食うものがねえ。飢え死にしそうなんだ」

泥酔のぼろ男は、そこで一段声をはりあげて叫びだした。

「そこいらのみんな、聞いてくれ。人外というものを知っているか。ここにいるおれがその人外だ。人間の形をして人間でない化けもののことだ。肺病やみのおっかあが飢え死にしそうになっている。十二の花売り娘がひもじがって、ぶっ倒れている。そのかわりに、おれがこうして、酒を飲んでるんだ。ちくしょうッ、人外だッ。人外っていうなあ、おれのこった!」

男はからになった焼酎のコップを卓上にたたきつけ、たたきつけて、こなごなに割ってしまった。そして、その鋭いガラスのかけらの上を、握りこぶしで「こんちくしょう、こんちくしょう」となぐりつづけた。無数のガラスの破片が手の甲に刺さって、針ネズミのようになり、タラタラと血が流れた。

突然、なんともいえぬ不思議な音が起こった。けだものの遠ぼえのようでもあった。生まれたばかりの赤んぼうの泣き声のようでもあった。酒場の客たちの顔が、みんなこちらを見つめていた。