Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かげおとこ

影男

江戸川 乱歩

Leggi 影男 (かげおとこ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.133 caratteri · 310 schermate

Aozora Bunko

影男は夢からさめたように、やっとそこへ気づいて、となりの小男須原と目を見合わせた。須原はニヤッと笑った。こちらもニヤッと笑って見せた。

「気がついたようだね。きみたちは谷底で眠っていた。車まで運ぶのに、ずいぶんほねがおれたよ」

中村警部が柔和な顔でいった。

「で、ぼくたちは、これから警視庁へ行くんですか」

「そうだよ。きみたちも、もう年貢の納めどきだからね」

鉄棒のはまった小さな窓のむこうに、運転手の制服巡査の背中が見えていた。普通のバスのような窓がないので、町を見ることはできなかった。お互いに顔見合わせているほかはなかった。

三人の犯罪者は、殺風景な留置室を頭に描いていた。それから刑務所の光景が浮かんできた。影男とちょびひげはそれ以上のことは考えなかったが、小男の須原だけは、絞首台を幻想していた。ブランとさがった、あのいやなかたちが、かれの心臓のあたりをフワフワ漂っていた。考えてみると、二十数名の委託殺人をやっている。死刑はまぬがれないな。共同経営者のふたりの重役も、むろん同罪だろう。かれらもじきにつかまるにきまっている。

希代の異常犯罪者三人三様の思いをのせて、バスはもう、警視庁の赤レンガの見えるお堀端にさしかかっていた。