Classici giapponesi con furigana
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かれはむかしのかれならず
彼は昔の彼ならず
Leggi 彼は昔の彼ならず (かれはむかしのかれならず) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.274 caratteri · 57 schermate
よ。何千万という死骸です。渡り鳥というのは悲しい鳥ですな。旅が生活なのですからねえ。ひとところにじっとしておれない宿命を負うているのです。わたくし、これを一元描写でやろうと思うのさ。私という若い渡り鳥が、ただ東から西、西から東とうろうろしているうちに老いてしまうという主題なのです。仲間がだんだん死んでいきましてね。鉄砲で打たれたり、波に呑まれたり、飢えたり、病んだり、巣のあたたまるひまもない悲しさ。あなた。沖の鴎に潮どき聞けば、という唄がありますねえ。わたくし、いつかあなたに有名病についてお話いたしましたけど、なに、人を殺したり飛行機に乗ったりするよりは、もっと楽な法がありますわ。しかも死後の名声という附録つきです。傑作をひとつ書くことなのさ。これですよ。」
僕は彼の雄弁のかげに、なにかまたてれかくしの意図を嗅いだ。果して、勝手口から、あの少女でもない、色のあさぐろい、日本髪を結った痩せがたの見知らぬ女のひとがこちらをこっそり覗いているのを、ちらと見てしまった。
「それでは、まあ、その傑作をお書きなさい。」
「お帰りですか? 薄茶を、もひとつ。」
「いや。