Classici giapponesi con furigana
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かれはむかしのかれならず
彼は昔の彼ならず
Leggi 彼は昔の彼ならず (かれはむかしのかれならず) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.274 caratteri · 57 schermate
僕にとっては、その当時こそ何かと不満もあったのであるが、いまになって考えてみると、あの技師にしろ、また水泳選手にしろ、よい部類の店子であったのである。俗にいう店子運がよかったわけだ。それが、いまの三代目の店子のために、すっかりマイナスにされてしまった。
いまごろはあの屋根のしたで、寝床にもぐりこみながらゆっくりホープをくゆらしているにちがいない。そうだ。ホープを吸うのだ。金のないわけはない。それでも屋賃を払わないのである。はじめからいけなかった。黄昏に、木下と名乗って僕の家へやって来たのであるが、玄関のたたきにつったったまま、書道を教えている、お宅の借家に住まわせていただきたい、というようなそれだけの意味のことを妙にひとなつこく搦んで来るような口調で言った。痩せていて背のきわめてひくい、細面の青年であった。肩から袖口にかけての折目がきちんと立っているま新しい久留米絣の袷を着ていたのである。たしかに青年に見えた。あとで知ったが、四十二歳だという。僕より十も年うえである。そう言えば、あの男の口のまわりや眼のしたに、たるんだ皺がたくさんあって、青年ではなさそうにも見えるのであるが、それでも、四十二歳は嘘であろうと思う。