Classici giapponesi con furigana
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びしょう
微笑
横光 利一
Leggi 微笑 (びしょう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.911 caratteri · 50 schermate
ここにも排中律の詰めよって来る悩ましさがうすうすともみ起って心を刺して来るのだった。先日までは、まだ栖方の新武器が夢だと思っていた先日まで、栖方の生命の安危が心配だったのに、それが事実に近づいて来てみると、彼のことなども早やどうでも良くなって、悪魔の所在を嗅ぎつけようとしている自分だということは、――悪魔、たしかにいるのだこ奴は、と梶は思った。
「その君の武器は、善人に手渡さなきゃア、国は滅ぶね。もし悪人に渡した日には、そりゃ、敗けだ。」と、何ぜともなく梶は呟いて立ち上った。神います、と彼は文句なくそう思ったのである。
栖方と梶とは外へ出た。西日の射す退けどきの渋谷のプラットは、車内から流れ出る客と乗り込む客とで渦巻いていた。その群衆の中に混って、乗るでもない、降りもしない一人の背高い、蒼ざめた帝大の角帽姿の青年が梶の眼にとまった。憂愁を湛えた清らかな眼差は、細く耀きを帯びて空中を見ていたが、栖方を見ると、つと美しい視線をさけて外方を向いたまま動かなかった。
「あそこに帝大の生徒がいるでしょう。」
と栖方は梶に云った。
「ふむ。いる。」
「あれは僕の同僚ですよ。