Classici giapponesi con furigana
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こころのめ
心の芽
小川 未明
Leggi 心の芽 (こころのめ) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4922 caratteri · 10 schermate
ここにいた、若い、健康な男女は、それぞれ工場へいき、活溌に働いたのですが、正吉は、それらの人たちと同じことはできず、ある電気工場へ勤めて、体力にふさわしい仕事として、ニクロム線を巻いたり、鉄板のさびを落としたりしていたのであります。
ある休みの日に、正吉は、前に奉公していた、縫い箔屋を訪ねました。主人は喜んで迎えてくれました。主人も、まだ老人とはいえぬながら、もはや工場へいって働ける年ではなく、さればといって、ぼんやり、その日を暮らす気にもなれず当惑していると、ちょうど総選挙前で、筆耕をたのむものがあって、そんなことをしているのでした。
「すこしの間に、世間もだいぶ変わったものだな。」と、主人は、いまさらのように、腕を組んでいいました。
「はい。」と、正吉は、答えました。
「こんどから、おまえにも選挙権があるんだね。りっぱな人間一人前になれたというものだ。だから、貴い権利をむだにしてはいけないよ。」
「はい。」
「考えてごらん、これまで私たちの代表として選んだ代議士が、ほんとうに、私たちの身の上を思ってくれたといえるかい。いいかげんな約束をして、民衆を踏み台にし、ただ当選すれば、いいとしたのだ。