Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
Leggi 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 193.050 caratteri · 383 schermate
一つ事件も見方により当人の実感には相違をもってしまうものか。媒体が人間だからこれは避け難いことというほかはあるまい。また他人には示さぬものでも、つい偽飾や欺瞞の自意識にも片寄るのではあるまいか。
日記は新年からがいい。来年から始めてみようと、ぼくも折には年暮の書店で新しい日記帳を買ってみたりする。けれど、不精や健忘よりも、何か正直が書けない気がしてすぐ厭になってしまう。都合のわるい所は××だの△△にしておいても、自瞞の不快さは蔽いえない。結局、書かないのもごまかしだが、その方が気がらくなので止めてしまい、晩生いよいよあいまい模糊と自分で自分をぼかして生きているようなものである。
そのぼくに難題がふりかかった。半自叙伝風なものを書けという。とんでもない事とおもった。そのくせ、ひとの自叙伝的なものはおもしろく読む。長谷川如是閑氏の「心の自叙伝」。立派である。優れた自画像であり時代像だ。菊池寛氏の「半自叙伝」。あのような自己の割りきりかたも、ぼくのなしうる所でない。長谷川伸氏の「ハンコ伝」。とても、あんなにまでは苦労人らしい苦労をしたぼくでもない。だいいち、ぼくの経路などは人に語っておもしろいものではないのだ。